2010年2月1日月曜日

名誉理事長ご逝去

堀敬文名誉理事長が亡くなられた。私が公立の教師を海外遠征登山が元でやけで退職し、鈴鹿中高にお世話になった時、もう山をやめる覚悟であった。しかし、その私の心底を見透かしたようにケイブン氏(私たちはケイブン・ケイブンと愛称を込めてよんでいた)は、「山を辞めなくていいよ、俺を裁判所の被告席に立たせなかったら大いにやり給え」と逆に元気つけてくださった。「私がやりだしたら中途半端じゃないですが、それでもいいですか?」と確認したところ、「大いに結構」と身じろぎ一つせずに応えてくださった。その後、山岳スキー部を創設、2年目でインターハイ全国大会出場、3年目で高校生初のインドヒマラヤ登山、その時にはどんなトレーニングをしているのか自分の目で確かめたいと山までわざわざ見に来ていただいた。その後もロシアの天山山脈へ中国側からシルクロードを通っての日本人初の未踏峰の登頂など、ネパールの5年間の植樹活動へとつながるのだが、生徒とともに好きなことをさせていただいた。そんなことができるのは日本中の高校の中でも鈴鹿高校だけだと当時よく山仲間から言われたものだ。私の30~40代、教師として一番いい時代に、一番やりたいことを好きなようにさせていただいた。それはすべてケイブン氏の懐の深さと教師に対する信頼があったからだと思う。酒を飲んではよく旧制中学校や京都大学哲学科の話をよく語られた。私の心には書いて頂いた色紙とともに「社会はゲマインシャフトだよ」の言葉が刻まれている。そんな大きな人に巡り合えた自分を幸せに思いながら御冥福を祈りたい。
校長室の背中にこの写真を貼っていつも見守っていただいている

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。